おはようございます。かちゅーです🐭
今日は、武士道においてとても重要な精神の鍛錬であった「克己(self-control)」について書きます。
現代社会においても、日本人は自制心に優れている国民性であるということはよく言われていると思います。
その根源は、昔から人々の間で育まれてきた美徳感や、精神修行にありました。
サムライの克己心
前回は武士の教育と訓練について書きましたが、それはまさにこの克己心を養うためにあったといってもいいでしょう。
サムライは、公衆の面前で自分の感情をあらわにしたり、取り乱したりすることを良しとはしませんでした。
「泣いてはおらぬ。武士の恥!!」
なんていうセリフをどこかで聞いたことがみなさんもあると思います。
この台詞は、サムライの克己心をよく表しているのではないでしょうか。
勇気、敢為堅忍の精神(Courage, The Spirit of Daring and Bearing)のブログでも述べましたが、武士はいかなる時も心の平静を保つことを良しとしました。
大切な人を失ったときも、何か喜ばしいことが起きたときも、努めて一喜一憂しないようにしていたのです。
新渡戸翁はこの様子をアメリカ人と対比して、
「アメリカ人の夫は公衆の面前で妻に接吻し、私室で殴る。しかし日本人の夫は公衆の面前で妻を殴って私室で接吻する。」
という表現を使用しています。
このような気質は現代でも脈々と受け継がれています。
よく日本人を包括的に見てshyと表現するアメリカ人がいますが、
そのような国民性も、こういった武士の美徳に由来しているのでしょう。
とはいえ、皆さんもお分かりのように、決して我々日本人は感情がないわけではありません。
むしろ、日本人はより繊細で情緒深い民族であるかのようにも思えます。
しかし、悲しいときも淡々と過ごす日本人を見て、「薄情な人だ」と感じる外国人もいるようです。
新渡戸翁もこの点については言及しています。
武士としての「男らしさ」を追求すると常に冷静沈着であることを目指すので、一見感情が薄く思えるかもしれませんが、
実際には身を裂くような苦痛にも耐え忍ぶ日本人の気質が現れているようにも思えます。
例えば、日本人の微笑みにはそういった哀愁も含まれているのではないでしょうか。
大切な人を亡くした時に、日本人は微笑みを浮かべることがよくあります。
「悲しい時に笑う」
という日本人の習慣を非人道的に思う人もいるかもしれませんが、
実際には他人を悲しませないように自分を懸命に押し殺しています。
日本人として、この姿には胸を打たれざるを得ません。
克己心の行末に
ここからは次回のブログの内容とも重なる部分なので簡潔にかきます。
武士は毎日心身の鍛錬に励んでいました。
このことはこれまでも伝えてきたと思います。
日々の人間道徳の修行を経て、強靭な克己心を養いました。
それが、いわゆる「名誉としての死」ー切腹ーに現れていると言えるでしょう。
死刑を命じられたものが自らの手で刃を腹に突きつけ、腹わたを切り裂くなどという作法は、西洋人からすると狂気の沙汰と写ることでしょう。
ですが、武士にとっての切腹は名誉の死とも位置付けられていたようです。
美しく死ぬことを一つのゴールとしていたのが武士の道ですから、切腹にも細かな作法があったのもうなずけます。
切腹は武士として立派な最期を飾るための花道ともいえるものだったようです。
正直、この境地までくると私にもあまり理解ができません。
どれだけ精神を高めたらそんなことをやってのけることができるのかと考えると、途方に暮れます。
刃が自分の腹を貫いたときの肉体的苦痛は、想像を絶するでしょう。
しかしながら、幕末の志士、武市半平太は切腹をして最期を迎える際、自分の腹を三回切り裂き、漢字の三文字でこの世を去ったそうです。
当時の武士からすると、このような行いは死をも恐れぬ勇気の証として大変崇拝されたということでした。
死ぬ覚悟
この話を聞いてどう感じるかは人それぞれですが、一つ言えることは、
そのような人たちの集まりが当時の日本だったから、国として力が桁外れに強かったのだと思います。
その覚悟がある人たちが現代に生きていたら、およそ不可能なことは何もないと思います。
私も、当時の武士とは何をやっても勝てる気がしません。
行き過ぎた克己心や信仰は、時として悲劇を招きます。
また時代の変化によって善悪の基準も変わります。
当然、今の時代には今の時代にあった倫理観が存在してしかるべきです。
しかし一方で、悠久のときを経ても変わることのない天地宇宙の法則というものが存在することも事実でしょう。
私は武士道に、その真髄に近いものがあると思っています。
切腹しろ!などとは到底言いませんが、こういった精神世界の奥深さを是非とも多くの人と共有できたら幸いです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
質問や感想などをコメントでシェアしていただけますと幸いです。
日本人として世界にはばたく人材が増え、グローバル競争の激化が進む現代社会においても日本が高いプレゼンスを発揮できるよう私も全力を尽くします。いずれは世界が一つになり、平和で豊かな社会になるような一助となれば幸いです。
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