おはようございます。
かちゅーです🐭
今日は武士の七徳の7つ目、「忠誠心(The Duty of Loyalty)」について書きます。
前回のおさらい
前回は「名誉(Honor)」について書きました。
武士は命よりも名誉を重んじ、実際に自らの名誉のために自分の命を投げ出すことさえありました。
一方で現代社会においては、命は何よりも大切なものとしてみなされる事が多いでうね。
ですから、名誉のような一見表面的な形式上でしか価値を見出さないもののために命をかけるなどという事は、
私たちの目からすると愚かな行為に思えるかもしれません。
しかし、武士は決して見栄や利己的な名声欲しさのために自分の命を軽んじていたわけではないということを、知っていただけたら幸いです。
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武士道における忠義
武士の死生観は、数百年に渡ってかつての日本人が道徳の道を極めた末に行きついたものでした。
武士が生命よりも大切にしていたものには、名誉の他にも忠義心があります。
忠義心は、封建国家における道徳心として他に類を見ないものです。
新渡戸翁も、封建道徳は様々な面で西洋をはじめとするほかの倫理体系などと共通する部分があると述べながら、
目上のものと目下のものの上下関係に対する忠誠は、独特なものであると述べています。
忠義は、義・礼とともに武士道の根幹を成す道徳観念です。
それを支える概念として、勇気・仁・誠がありました。
さらに忠義を支えていたのが義・礼でした。
すなわち、武士の七徳の中でも最上位に位置するものが忠義だったのです。
主君への忠誠心を果たすべく自分の命を落とした武将の逸話を、日本人である我々は小さい時から多少は耳にします。
ここで誤解しないで欲しいのは、武士たちは決して自分の命を無駄にしていたわけではないという事です。
前回の名誉に関するブログでも書きましたが、武士にとって命を粗末にする事はこの上ない恥さらしとして蔑まされたのです。
誇り高く高潔に生きる事は、武士にとっての至上命題でした。
ですから、大義のために道徳の道を歩むことを何よりも大切にしていたのです。
そのためであれば死を選ぶという覚悟があったと表現すればわかりやすいでしょうか。
それほどまでにサムライの忠誠心は崇高な精神とされていたのです。
忠誠心のために死ねるか?
武士道はもともと、古代中国の教えに由来するものです。
当時の武士たちは、小さい頃から四書五経をそらんじていたと言います。
有名な二宮金次郎の銅像も、手にしているのは四書の一つである「大学」だというのをご存知でしたでしょうか?
江戸時代中期に活躍した石門心学の創始者、石田梅岩は著書「都鄙問答」の中である逸話を紹介しています。
昔、中国の衛という国に宣公という君主がいました。
宣公には後継ぎの息子「伋(きゅう)」がいましたが、一方で宣姜という別の妻との間に二人の子供がいました。
二人の子供の兄を「壽(じゅ)」、弟を「朔(さく)」と言います。
宣姜と弟の朔は二人で宣公に対し伋の悪口を言い続けます。
すると宣公はこの宣姜を大変愛していたので、次第に伋のことを憎むようになりました。
そしてあるとき、伋を斉の国へ使いにだしその道中に賊を潜ませて殺させようと企みます。
このことを知った兄の壽は、伋にこのことを伝えます。
しかし伋はそれを知りながらも、「これは私の命だ。背く事はできない。」
と言って使いに出ていくのです。
そこで壽は、せめて伋の身代わりになろうとして伋になりすまし、
先に賊のもとへ足を運びます。
賊は当然、のこのことやってきた壽を伋だと勘違いして殺してしまいました。
その後、伋がその場にたどり着きます。
すると、「父の命だ。私を殺せ。」
と言い、賊に殺されてしまったのでした。
お分かりでしょうか。
伋は父の命令を守り、宣姜の悪事を公にすることもなく彼らを守って死んでいったのです。
梅岩はこの物語を例に取り、訪ねて来た武士に本当の孝行心とは何かを説いています。
武士はこのような壮絶ともいえるお話から真の道徳とは何か、日々模索し学んでいました。
自分の命をとしてでも親や人のため、世のため国のために道徳の道を全うする事が人間として最も崇高な生き方であるということを、小さい時から学んでいたのですね。
現在の日本から愛国心は廃れた?
しかし、第二次世界大戦における敗戦以降、GHQによる教育革命によって日本人から以前のような強い忠誠心は消えていきました。
個人の尊厳、国民一人一人の人権を重んじられるようになったからです。
当時日本は小国でありながらも、世界に名を馳せる強国として畏れられていました。
その根幹を成していたのは、大和魂という高い精神性と祖国日本に対する忠誠心であった事は、多くの人に納得いただけるのではないでしょうか?
それを失わせたのは、GHQの陰謀があったという主張もあります。
アメリカは当時、そんな高すぎる精神性を危険に感じていました。
教育改革によって徹底的に日本人の忠誠心を根絶しようとしていたという説もあるのです。
事実、今の日本国民の中で国のために命を捧げるひとなどほとんどいません。
下のデータにも示しましたが、日本人の国に対する威信は世界的に低くなっている事が示唆できるでしょう。
もし戦争があったら国のために戦うか?
なんとも皮肉に感じるのは、アメリカ人の57.8%は、このアンケートに「はい」と答えているところですね。
過半数ですよ?
それに対する日本人は15.2%。
結構すごい数字じゃないですか?
個人の尊厳やら自由やらを掲げる国も、やはり愛国心や国を守ろうという心は国民に根付いているようです。
それもそのはず。アメリカの義務教育では、皆が星条旗に向かって毎朝国家を歌って1日が始まります。
一方の日本は君が代に対する反対運動さえも起こっている状態なので、愛国心もへったくれもあったもんじゃありません!
この「武士道シリーズ」で何度も繰り返していますが、
私たちの国日本には、長い歴史によって築かれた美しい文化と高い精神性があります。
もう一度それらを見直し、先人たちの生き方に触れて学ぶ事が日本の悠久なる繁栄へとつながると信じています。
最後に
いかがでしたでしょうか。
質問や感想などをコメントでシェアしていただけますと幸いです。
日本人として世界にはばたく人材が増え、グローバル競争の激化が進む現代社会においても日本が高いプレゼンスを発揮できるよう私も全力を尽くします。いずれは世界が一つになり、平和で豊かな社会になるような一助となれば幸いです。
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