おはようございます。
かちゅーです🐭
いよいよ、武士道シリーズの最終回のとなります。
今日は、「武士道の将来(The Future of Bushido)」について、簡潔にまとめて締め括ります。
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新渡戸翁の予期
新渡戸翁の著書「武士道」が発刊されたのは1899年のことですが、その時には既に武士道の存在感は消えかかっていました。
我々の感覚からすれば、当時の日本人の心には依然として武士道の教えが根強く残っていたのではないかという気もしますが、
しかし、江戸幕府が倒れ明治維新によって廃藩置県や廃刀令、士農工商の身分制度の廃止などにより、国内における武士のプレゼンスが明らかに弱くなっていたのは事実でしょう。
新渡戸翁がこの本を書いた経緯については、武士道のシリーズ初回のブログでも完結ですが触れました。
新渡戸翁は、国際連盟のナンバー2にまで上り詰めた人物ですので、当然世界的な人脈や知見を持っていました。
その中で、新渡戸翁は日本のサムライや武士道について尋ねられることが非常に多かったことから、世界からの武士道に関する注目度や関心の高さに気づきます。
それで著書「武士道」を執筆した結果、瞬く間にアメリカを中心として人気をとり、その後世界中に広まっていったのです。
著書の中で新渡戸翁は、武士道を見事に体系化し、美しい文学的表現力で説明しました。
また若干の誤解や曲解が見受けられはしたものの、彼の世界史や哲学を始めたとしたあらゆる教養の深さには感嘆させられるばかりです。
そんな新渡戸翁ですが、武士道の将来の展望について、当時の時代背景や歴史の前例などを踏まえて極めて冷静かつ論理的に意見を述べています。
700年続いても強力な唯物的理論には敵わない
まず、武士道は西洋の唯物論的哲学の上にはなかなか立てないということを述べられています。
武士道は宗教とは違うので、その精神思想や教えが明文化されていたわけではありません。
極めて抽象的な精神論に当たりますので、科学的な実証や論拠をもとにした事実から論ずる西洋的なものと比べると、どうしてもインパクトが弱くなります。
いわゆる形而上の学問や思想でそういった唯物論と互角かそれ以上に存在感を発揮し続けているのは、キリスト教くらいであろうと新渡戸翁は述べられています。
この点は、現代においても同じように思えます。
今日世界で20億人の信者を誇るキリスト教と比べてしまうと、武士道の存在感は小さな灯火のようなものかもしれません。
武徳に根付いた思想の限界
新渡戸翁はまた、武士道は武人としての徳を追求した結果生まれたものである点についても言及しています。
すなわち、武士道には忠義や名誉・誇り・勇気といった徳を究極までに高めたものであると伺えますが、そこには「愛」の徳目が少々欠落していました。
ですから、個人の生命が軽視される側面があったり、極端な男女格差社会が生まれたりしていたのです。
歴史を振り返っても、武徳の追求に根ざした道徳的理念が永劫の繁栄を持った前例はありません。
新渡戸翁は、孔子や孟子と言った古代中国の聖賢の教えを例に挙げながらこの点について説明しています。
しかし、それでも700年間武士の時代が続いたということにはやはり何か理由がありそうですね。
武士道を深く知るとかつて日本人が持っていた死生観に驚愕します。
ある人から見ればそれは理解しがたい狂人の思想に映るかもしれません。
ですが、武士の死生観を学び、現代社会での生活に取り入れると言葉では表現し難い「心の安らぎ」がもたらされます。
この不思議なパワーの恩恵を得るためには、物質主義的価値観のみに頼るだけでは限界がある気もしています。
武士道は永遠に生き続ける
武士道は、これからも私たちの中で生き続けるだろうと新渡戸翁はいいます。
一度根付いた精神的思想が完全に淘汰されることなどはありえないからです。
確かに、そちらの方が明らかに非現実的ですね。
現在の日本では、唯物論に価値をおくような雰囲気がどうしても強くありますが、やはり充実した人生を送れている人はほぼ例外なく徳を追求しているものです。
実は、このことは欧米でもだんだんと認知されるようになってきています。
成功者に共通しているのは、美徳の追求をしていることであり、美徳を追求することが成功への近道であるというのは、科学的にも証明されつつあります。
以前は論理的でない精神論の域を抜け出せず、軽視されがちでしたが、道徳に即した生き方や考え方、行動がのちの成功に影響していることはデータを見れば明らかです。
改めて東洋の教えが世界からも注目されつつある今、私たち日本人としても、もう一度先人たちの教えを学び直してみてもいいかもしれません。
これを読んでくれているあなたの人生がより一層繁栄し、輝くものになることを願っております。
最後に
いかがでしたでしょうか。
質問や感想などをコメントでシェアしていただけますと幸いです。
日本人として世界にはばたく人材が増え、グローバル競争の激化が進む現代社会においても日本が高いプレゼンスを発揮できるよう私も全力を尽くします。いずれは世界が一つになり、平和で豊かな社会になるような一助となれば幸いです。
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